疥癬とは|夜のかゆみ・家族にも症状があるときの受診と対策
疥癬とは|
夜のかゆみ・家族にも症状があるときの受診と対策
一般皮膚科・美容皮膚科・アレルギー科(医師紹介)
- 疥癬はヒゼンダニが皮膚に寄生して起こり、夜に強いかゆみ、指の間・手首・陰部のぶつぶつ、家族にも同じ症状が手がかりです
- 疥癬が疑われる方は、来院前に 03-3413-6600 へお電話ください。感染対策のため、受診時刻と受付方法をご案内します
- 診断がつけば内服・外用で治療できます。厚いかさぶたで覆われる角化型は感染力が極めて強く、別の対応が必要です
「疥癬(かいせん)」と「尋常性乾癬(かんせん)」は別の病気です(乾癬については尋常性乾癬の診療案内)。この記事では、ヒゼンダニというダニが皮膚に寄生して起こる疥癬について解説します。
「夜になると体じゅうがかゆくて眠れない」「指の間や手首に小さなぶつぶつがある」「同居している家族も同じようにかゆがっている」「介護施設にいる親がかゆみを訴えている」——こうした経過は疥癬によく見られます。この記事では、疥癬の症状と好発部位、通常疥癬と角化型の違い、うつり方、診断、治療と家族・寝具の対策、受診の目安を皮膚科専門医が解説します。
疥癬とは|ヒゼンダニが皮膚に寄生する病気
疥癬は、体長0.4mmほどのヒゼンダニ(疥癬虫)が皮膚の角質層に潜り込み、卵を産みながらトンネルを掘ることで起こる病気です。ダニそのものと、ダニの排泄物に対するアレルギー反応によって、強いかゆみと発疹が出ます。
年齢・性別・清潔さに関係なく誰でもかかります。不潔だからかかる病気ではありません。家庭内、高齢者施設、病院など、人と人が長く接触する場で広がりやすく、日本では高齢者施設での集団発生が問題になります。
疥癬の症状|夜のかゆみ・好発部位・疥癬トンネル
| 症状 | 特徴 |
|---|---|
| かゆみ | 夜間・布団に入ると強くなる激しいかゆみ。感染してから症状が出るまで1〜2か月かかることがあります(初感染の場合) |
| 赤い小さなぶつぶつ(丘疹) | 指の間・手首の内側・ひじ・わきの下・おなか・陰部・お尻・太ももの内側に多い。顔や頭には出にくい(乳幼児・高齢者・角化型は例外) |
| 疥癬トンネル | ダニが角質に掘った長さ数mmの細い線状の盛り上がり。指の間・手首・手のひらの側面に見つかることが多く、診断の決め手になります(写真1) |
| 結節 | 陰部・わき・ひじなどに、小豆大の赤茶色のしこり。治療後も数か月残ることがあります |
| 家族・同居者の症状 | 同じ家・同じ施設の人が同じ時期にかゆがっている。この情報は診断に非常に重要です |
かゆみで掻き壊すと湿疹やとびひ(細菌感染)を合併し、見た目が湿疹と区別しにくくなります。虫刺されや手湿疹として治療されていることも少なくありません。「湿疹の薬を塗っても治らない」「ステロイドでかえって広がった」という経過も、疥癬を疑う手がかりです。手のひらや指の水ぶくれが主体の場合は汗疱(かんぽう)との見分けが必要です。
疥癬の写真|指の間・手のひら・わき・手の甲の発疹
当院で診察した疥癬の症例写真です。好発部位である指の間・手・わきに出た発疹の見え方を示しています。ただし、疥癬の発疹は湿疹・虫刺され・汗疱などと見分けがつきにくく、写真と似ているかどうかで自己診断はできません。夜のかゆみ・家族の症状とあわせて、診察と検査で確認します。




※写真はいずれも当院で診察した患者さんのもので、ご本人の同意を得たうえで、個人が特定されないように加工して掲載しています。発疹の数・色・部位は人によって大きく異なります。
通常疥癬と角化型(ノルウェー)疥癬の違い
| 通常疥癬 | 角化型(ノルウェー)疥癬 | |
|---|---|---|
| ダニの数 | 数十匹程度 | 100万〜200万匹 |
| 見た目 | 丘疹・トンネル・結節 | 手足・ひじ・ひざ・爪などが厚い灰色〜黄白色のかさぶた(角質)で覆われる。爪が厚く濁る |
| かゆみ | 強い | 強いこともあれば、ほとんどないこともある |
| なりやすい人 | 誰でも | 高齢者、免疫が低下している方、ステロイドや免疫抑制薬を使っている方 |
| 感染力 | 長時間の直接接触でうつる。短時間の接触ではうつりにくい | 極めて強い。短時間の接触、落ちた角質からもうつる。個室での隔離と環境の対策が必要 |
角化型の爪の変化は、爪乾癬や爪水虫と間違えられることがあります。爪乾癬については乾癬のコラムをご覧ください(繰り返しますが、乾癬と疥癬は別の病気です)。角化型が疑われる場合は、入院設備のある医療機関での治療が必要になることが多く、当院からご紹介します。
うつり方|家族・施設での感染と、うつりにくい接触
- うつる——同じ布団で寝る、長時間手をつなぐ・体を密着させる、介護での直接接触。感染した人が使った直後の寝具・衣類を共有する
- うつりにくい——握手・会話・同じ部屋にいる程度の短時間の接触。ヒゼンダニは人の皮膚を離れると長くは生きられません(室温で1〜2日程度)
- ペットの犬・猫のダニ(ヒゼンダニの別の種類)は人に一時的な症状を起こすことはあっても、人の皮膚で繁殖は続きません
感染してから症状が出るまで1〜2か月かかるため、症状が出る前の期間にも周囲にうつしている可能性があります。診断がついたら、同居の方・密接に接触した方に症状の有無を確認し、必要に応じて同時に受診していただきます。
診断|ダーモスコピーと顕微鏡検査
疥癬の診断は、ヒゼンダニ本体・卵・フンを実際に見つけることで確定します。
- ダーモスコピー——拡大鏡でトンネルの先端にいるダニを探します。痛みはありません
- 顕微鏡検査——トンネルや丘疹の角質を少し削って顕微鏡で調べ、ダニ・卵・フンを確認します。当院では院内で検査し、結果はその日のうちにお伝えできることが多いです
- 検査で見つからなくても疥癬を否定することはできません——通常疥癬ではダニの数が少なく、1回の検査で見つかる確率は高くありません。症状・部位・家族の状況から疑いが強い場合は、検査を繰り返す、または治療を開始して反応を見ることがあります
- 湿疹として治療されてきた方は、ステロイド外用で見た目が変わっていることがあります。「いつから・どこが・誰が」を詳しくお伝えください
治療|内服薬・外用薬と、治療後に残るかゆみ
- イベルメクチンの内服——体重に応じた量を空腹時に1回服用し、効果の判定により1〜2週間後に再度服用することがあります(国内の添付文書では空腹時の服用が望ましいとされています)。妊娠中・妊娠の可能性がある方、体重15kg未満の小児などは、安全性と必要性を医師が慎重に判断します。用法は添付文書と医師の指示に従ってください。なお、酒さの治療に使うイベルメクチンの外用薬(クリーム)とは用途が異なります
- フェノトリンローションの外用——医師が指示した量と範囲で、首(頸部)から足の裏まで(指の間・爪の周り・陰部・お尻を含む)に塗り、12時間以上たってから洗い流します。国内の添付文書では1週間の間隔で少なくとも2回塗布します。追加の必要性は診察で判断します。目や粘膜、傷には塗らないなど、処方時の説明に従ってください。塗り残しがあると治りません
- かゆみへの対症療法——抗ヒスタミン薬の内服など。ステロイド外用薬は、診断がつく前に強いものを使うと疥癬を悪化させることがあるため、医師の指示のもとで使います
- 合併した細菌感染の治療
※薬の種類・使用回数は診察のうえ決めます。実際の飲み方・塗り方は処方医の指示が優先します。処方できる薬の範囲は診察でご案内します。
- ダニが死んだ後も、ダニの死骸やフンに対する反応で数週間(長いと1か月以上)かゆみが続くことがあります。ただし、かゆみだけで「治った」「治っていない」「再感染した」を判断することはできません
- 新しいトンネルや丘疹が増えている、改善が乏しい、周囲にも症状がある場合は再診してください。自己判断で薬を追加せず、効果判定を受けてください
- 治療の効果判定は、治療後2〜4週間の経過で行います
家族・寝具・衣類の対策
- 同居の家族・密接に接触した方——症状・接触状況を医師にお伝えください。症状のある方は同じ時期の受診・治療を相談します。症状のない方の対応は、感染のリスクと薬の適応を踏まえて個別に判断します。家族間で処方薬を分けないでください
- 寝具・衣類——通常の洗濯で十分です。治療を始めた日に、使っていたシーツ・枕カバー・パジャマ・下着を洗濯し、乾燥機または日光で乾かす。洗えないものの扱い(袋に入れて一定期間おくなど)は診察時の指導に従ってください
- 部屋——通常疥癬では家全体の消毒や殺虫剤の散布は不要です。普段どおりの掃除を続けてください(掃除機がけはダニを殺す処理ではありません)
- 家族間でタオル・寝具の共有を避ける(治療が終わるまで)
- 角化型は落ちた角質にもダニがいるため、寝具・衣類は50℃以上の湯に10分以上つけてから洗濯、または乾燥機で加熱。部屋の掃除機がけを念入りに
- 高齢者施設・病院で複数の入所者・職員に症状がある場合は、施設から保健所に相談し、専門医の指導のもとで一斉の対応をとります。個人の判断で市販薬を使わないでください
登校・出勤や施設での対応は、疥癬の型、接触する相手、治療の状況によって異なります。診断時に医師と、学校・職場・施設の担当者に確認してください。介護施設などで複数の方に症状がある場合は、施設の感染対策担当者を通じて保健所に相談します。
受診の目安・急ぐ症状
- 夜に強くなるかゆみがあり、指の間・手首・わき・陰部にぶつぶつがある(期間にかかわらず、疥癬が気になった時点で)
- 家族や同居の方、施設の入所者に同じ症状がある
- 湿疹の薬を塗っても治らない、かえって広がった
- 施設や病院から「疥癬の疑い」と言われた
疥癬が疑われる方は、来院前に 03-3413-6600 へお電話ください。受診時刻と受付方法をご案内します。受診時は、いつから・どの部位に・家族や同居の方の症状・使った薬をお伝えください。
- 手足や体が厚いかさぶた(角質)で覆われてきた、高齢・免疫が低下している方のかゆみ——角化型疥癬の可能性。周囲への感染力が極めて強いため早急に
- 掻き壊しが赤く腫れて熱をもつ、膿が出る、発熱——細菌感染(とびひ・蜂窩織炎)の合併
- 高齢者施設・病院で複数の人に症状——施設から保健所へ相談
当院の保険診療は初診予約不要です。「湿疹なのか疥癬なのか分からない」という段階でも、診療時間・受付時間をご確認のうえご来院ください。
夜のかゆみとご家族の症状を、診察で確認します
疥癬が疑われる方は来院前にお電話を・保険診療
必要に応じて顕微鏡検査・ダーモスコピーで確認し、結果と症状・接触歴を合わせて判断します。内服・外用の治療と家族の対策をご案内します。疥癬が疑われる方は来院前に 03-3413-6600 へお電話ください。
TEL03-3413-6600 公式LINEはこちら 診療時間・行き方を確認する(アクセスページ)保険診療の初診は予約不要ですが、疥癬が疑われる方は感染対策のため来院前に 03-3413-6600 へお電話ください(受診時刻と受付方法をご案内します)。受付は診察終了の15分前までです。
土 9:30〜12:00 / 14:00〜17:00
木・日・祝 休診
〒154-0011 東京都世田谷区上馬3-18-11 エルフレア駒沢3F
よくある質問
関連ページ
参考資料
- NHS(英国国民保健サービス):Scabies——症状(夜間のかゆみ・好発部位)、うつり方、治療、同居者の同時治療、治療後のかゆみ
- DermNet(ニュージーランド皮膚科学会):Scabies——ヒゼンダニの生活環、通常疥癬と角化型疥癬の違い、診断(ダーモスコピー・顕微鏡)、治療
医療法人社団 誠清会 理事長
日本皮膚科学会認定 皮膚科専門医
- 山梨医科大学医学部(現・山梨大学医学部)卒業 / 同大学皮膚科学教室 入局
- 同大学 救急部麻酔科にて全身管理を研修
- がん研究会がん研究所 生化学部にて皮膚がんの発生メカニズムを研究(国内留学)
- スウェーデン・ルードヴィック癌研究所 研究員(国際共同研究)
- 山梨医科大学 皮膚科 助手・医局長 歴任
- 2003年11月 駒沢皮膚科クリニック 開院(開業20年以上)
皮膚がん・アトピー性皮膚炎・尋常性乾癬・掌蹠膿疱症・ニキビ・ニキビ跡・アレルギー性皮膚疾患・美容皮膚科
- 医学博士
- 日本皮膚科学会認定 皮膚科専門医
- 日本皮膚科学会 会員
- 日本臨床皮膚科学会 会員
- 日本アレルギー学会 会員
- 日本美容皮膚科学会 会員
- 「血小板由来成長因子(PDGF)のシグナル伝達機構および癌化調節機構の検討」により文部科学省 科学研究費助成(平成13〜14年度)
- 「隆起性皮膚線維肉腫におけるPDGFのシグナル伝達機構および癌化調節機構の検討」により日本皮膚科学会 基礎医学研究費(資生堂寄付)授与(平成14年度)
疥癬は「湿疹」として何か月も治療され、家族にうつってから気づかれることが少なくありません。夜のかゆみ、指の間や手首のぶつぶつ、そして「家族も同じようにかゆい」——この3つがそろえば、まず疥癬を疑います。当院では院内の顕微鏡検査でヒゼンダニを探しますが、見つからなくても否定はできないので、状況をできるだけ詳しく教えてください。疥癬が疑われる方は、来院前にお電話ください。受診時刻と受付方法をご案内します。まずお気軽にご来院ください。
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【美容施術時間】
▲=土曜午後/14:00〜17:00
