うっ滞性皮膚炎とは|すねの湿疹・むくみ・色素沈着が続くとき

皮膚科専門医 監修コラム

うっ滞性皮膚炎とは|
すねの湿疹・むくみ・色素沈着が続くときは

専門医監修 保険診療対応 駒沢皮膚科クリニック|駒沢大学駅直結
公開日:2026年10月27日 / 最終更新日:2026年10月27日
駒沢皮膚科クリニック院長 清水顕医師
監修:清水 顕(日本皮膚科学会認定 皮膚科専門医/医学博士) 医療法人社団 誠清会 駒沢皮膚科クリニック 院長
一般皮膚科・美容皮膚科・アレルギー科(医師紹介)
この記事の結論
  • うっ滞性皮膚炎は、足の静脈の血液が戻りにくくなり、すねに湿疹・かゆみ・茶色い色素沈着が出る病気。中高年・立ち仕事・静脈瘤のある方に多い
  • 外用薬だけでは繰り返します。足を上げる・歩く・診察で確認したうえでの圧迫を組み合わせ、皮膚が硬くなる前に対策を
  • 片側の足が急に腫れて痛い場合は血栓の可能性。その日のうちに医療機関へ。息苦しさ・胸の痛みは119番

「すねの内側がかゆくて、塗り薬で一度よくなってもまた出てくる」「すねが茶色く黒ずんできた」「夕方になると足がむくんで靴下の跡がくっきり残る」——こうした経過はうっ滞性皮膚炎(うったいせいひふえん)によく見られます。

うっ滞性皮膚炎は、足の静脈の血液が心臓へ戻りにくくなることで起こる湿疹で、「乾燥肌」「ただの湿疹」として外用薬だけで対処していると長引き、皮膚が硬くなって傷が治りにくくなることがあります。この記事では、うっ滞性皮膚炎の原因と症状、見分けが必要な病気、治療と自宅での対策、受診の目安を皮膚科専門医が解説します。

すぐに受診していただきたい症状:片側の足だけが急に腫れて痛い・熱っぽい場合は深部静脈血栓症の可能性があり、自分で揉んだり押して確かめたりせず、その日のうちに医療機関(救急外来・循環器内科・血管外科)へ。息苦しさ・胸の痛み・失神があれば119番を。すねが赤く熱をもち発熱を伴う場合は蜂窩織炎の可能性があり早めに皮膚科へ。 詳しくは受診の目安・急ぐ症状をご覧ください。

うっ滞性皮膚炎とは|静脈のうっ滞で起こるすねの湿疹

足の静脈には、血液が重力で逆流しないように弁がついています。この弁の働きが弱くなると、血液がふくらはぎやすねにたまり(うっ滞)、血管の内側の圧が上がって、血液の成分が周囲の皮膚にしみ出します。これが長く続くと皮膚に炎症が起こり、湿疹・かゆみ・色素沈着が出ます。これがうっ滞性皮膚炎です。「静脈うっ滞性皮膚炎」「うっ滞性湿疹」とも呼ばれます。

特徴は、すねの内側・足首の内側(くるぶしの上)に左右対称に出やすいことと、夕方のむくみ・立ち仕事で悪化することです。片足だけに出る場合は、その足に静脈瘤や過去の血栓があることが多いです。

原因|静脈の弁の働きが弱くなる・静脈瘤・立ち仕事

うっ滞性皮膚炎の背景にあるもの
  • 下肢静脈瘤——すねやふくらはぎに浮き出た血管がある方。静脈瘤がはっきり見えなくても、弁の働きが弱くなっていることがあります
  • 加齢——年齢とともに弁の働きが弱くなります。50歳以上の方に多い病気です
  • 長時間の立ち仕事・座りっぱなし——ふくらはぎの筋肉が動かないと、血液を押し上げるポンプが働きません
  • 過去の深部静脈血栓症——血栓で弁が傷み、その後に静脈のうっ滞が続くことがあります
  • 肥満・妊娠・出産の経験・足のけがや手術——静脈への負担が増える要因です
  • 心臓・腎臓の病気によるむくみ——両足のむくみが強い場合は、静脈以外の原因も確認が必要です

うっ滞性皮膚炎の症状と経過|かゆみ・色素沈着・皮膚の硬化

うっ滞性皮膚炎でみられる主な皮膚の変化です。現れ方・進み方は人によって異なり、複数の変化が同時にみられることもあります。早い段階で静脈のうっ滞に対策をとることで、症状の軽減と悪化・再発の予防を目指します。

段階見た目・症状
初期夕方の足のむくみ、靴下の跡が残る。すねの内側や足首に軽いかゆみ・乾燥・赤み。「乾燥肌」「虫刺され」と思われやすい段階です
湿疹期赤くカサカサした湿疹が広がり、かゆみで掻くとじゅくじゅくしたり、かさぶたになったりします。すね全体に広がることもあります
色素沈着血液の成分(ヘモジデリン)が皮膚に沈着し、茶色〜赤褐色の色素沈着が残ります。湿疹が治まっても色は長く残ります
皮膚の硬化皮下の脂肪が硬くなり、足首の上が締め付けられたように細く硬くなります(脂肪皮膚硬化症)。皮膚がつっぱり、傷が治りにくくなります
潰瘍小さな傷や掻き壊しから治りにくい傷(下腿潰瘍)になることがあります。くるぶしの内側の上に多い

見分けが必要な病気|蜂窩織炎・深部静脈血栓症・乾燥性湿疹

すねの赤み・かゆみ・腫れを起こす病気の中には、急いで治療が必要なものがあります。下の表は診察で参考にする特徴で、この表だけで診断はできません。

病気参考にする特徴
深部静脈血栓症片側の足が急に腫れて痛い・熱っぽい。長時間の移動・手術・寝たきりの後に多い。血栓が肺に飛ぶと命に関わるため、自分で押して確かめたりせず、その日のうちに医療機関へ。息苦しさ・胸の痛み・失神があれば119番
蜂窩織炎すねが赤く腫れて熱をもち、押すと痛い。発熱・だるさを伴う。うっ滞性皮膚炎の掻き壊しから細菌が入って起こることもあります。抗菌薬の治療が必要です。詳しくは蜂窩織炎のコラム
皮脂欠乏性湿疹冬の乾燥で、すねの前面に白い粉をふいたようなカサカサとかゆみ。むくみや色素沈着は伴いにくい。皮脂欠乏性湿疹の診療案内
接触皮膚炎(かぶれ)湿布・外用薬・靴下のゴムなどに反応。うっ滞性皮膚炎の皮膚はかぶれやすく、合併していることが多い。接触皮膚炎の診療案内
貨幣状湿疹すねにコイン状のじゅくじゅくした湿疹が多発。乾燥肌の方に多く、むくみや色素沈着は伴いにくい。うっ滞性皮膚炎に合併することもある。貨幣状湿疹のコラム
体部白癬(たむし)縁が盛り上がった環状の赤い発疹。顕微鏡で真菌を確認。体部白癬のコラム
乾癬厚い銀白色の鱗屑がつく赤い斑を手がかりに診察します。症状が似ることや合併もあるため、見た目だけでは区別できません。尋常性乾癬の診療案内

湿疹が片側の足から全身に広がる経過は、別の対応が必要です(自家感作性皮膚炎の診療案内)。

治療|外用薬・保湿と、静脈のうっ滞への対策(足上げ・圧迫・歩行)

治療は「皮膚の炎症を抑える」と「静脈のうっ滞を減らす」の両輪です(保険診療)。外用薬だけでは、うっ滞が続く限り繰り返します。

皮膚科で検討する主な対応
  • ステロイド外用薬——湿疹・かゆみの炎症を抑えます。範囲と強さは診察で決め、炎症が治まったら減らします
  • 保湿——乾燥と掻き壊しを防ぎます。入浴後に毎日。うっ滞性皮膚炎の皮膚はかぶれやすいため、成分の多い製品より低刺激のものを
  • かゆみへの内服——夜のかゆみが強い場合に抗ヒスタミン薬を検討します
  • 掻き壊し・感染への対応——じゅくじゅくした部分や細菌感染があれば、その治療を優先します
  • 静脈の評価と連携——当院では湿疹・かゆみ・傷などの皮膚症状を診察します。静脈瘤が目立つ、片足だけ症状が強い、潰瘍があるといった場合は、静脈エコーや静脈瘤の治療に対応できる血管外科・循環器内科への受診をご案内します(血管の検査・治療が当院で完結するわけではありません)

※薬の種類・使用期間は診察のうえ決めます。実際の塗り方・量・期間は処方医の指示が優先します。

静脈のうっ滞を減らす日常の対策
  • 足を上げる——座るとき・横になるときは、足を心臓より高く。1日数回、15〜30分
  • 歩く・ふくらはぎを動かす——ふくらはぎの筋肉が静脈のポンプです。立ち仕事ではかかとの上げ下げ、座り仕事では足首を回す
  • 圧迫(弾性ストッキング・包帯)——静脈のうっ滞を減らす基本の治療です。ただし足の動脈の血流が悪い方が圧迫すると危険なため、自己判断で始めず、診察で動脈の状態を確認してから、圧の強さと種類を決めます
  • 長時間同じ姿勢を避ける。きつい靴下・ガードルのゴムで締め付けない
  • 熱い湯・長風呂・ナイロンタオルでこする洗い方はかゆみを悪化させます。ぬるめの湯で短時間に

放置するとどうなる|皮膚の硬化と下腿潰瘍

うっ滞性皮膚炎を「乾燥肌」として保湿だけで何年も過ごすと、皮膚と皮下の脂肪が硬くなり(脂肪皮膚硬化症)、足首の上が締め付けられたように変形します。硬くなった皮膚は血流が悪く、掻き壊しや小さな傷が治らず、下腿潰瘍になることがあります。潰瘍は治るまで数か月かかることも珍しくなく、この段階になると圧迫療法と専門的な創傷管理が必要です。

逆にいえば、むくみと軽い湿疹の段階で静脈のうっ滞に対策をとることが、皮膚の硬化や潰瘍への進行を防ぐ基本です。「すねのかゆみが繰り返す」「色が茶色くなってきた」時点での受診をお勧めします。

受診の目安・急ぐ症状

受診の目安
  • すねの内側・足首のかゆみや湿疹が、市販薬や保湿で治まらない・繰り返す
  • すねが茶色く色素沈着してきた、皮膚が硬くなってきた
  • 夕方のむくみが強い、静脈瘤が目立つ
  • すねに治りにくい傷がある

受診時は、使っている外用薬・湿布・保湿剤(かぶれの原因になることがあります)と、むくみや静脈瘤についてこれまでに言われたことをお伝えください。

早めに受診していただきたい症状(急ぐ症状)
  • 片側の足が急に腫れて痛い・熱っぽい——深部静脈血栓症の可能性。自分で揉んだり押して確かめたりせず、その日のうちに医療機関へ(救急外来・循環器内科・血管外科)。息苦しさ・胸の痛み・失神があれば119番を
  • すねが赤く腫れて熱をもち、発熱・だるさがある——蜂窩織炎の可能性。早めに皮膚科へ
  • 傷が広がる・黒くなる・膿が出る・強い痛み

当院の保険診療は初診予約不要です。「乾燥肌なのか、うっ滞性皮膚炎なのか分からない」という段階でも、診療時間・受付時間をご確認のうえご来院ください。

繰り返すすねの湿疹は、原因から見直しましょう

初診は予約不要・保険診療

湿疹の治療に加えて、静脈のうっ滞への対策(圧迫の可否・足上げ・歩行)を一緒に考えます。静脈瘤や潰瘍がある場合は、血管外科との連携もご案内します。

TEL03-3413-6600 公式LINEはこちら 診療時間・行き方を確認する(アクセスページ)

保険診療の初診は予約不要です。受付は診察終了の15分前までです。検査や処置の内容によっては、別日の実施や専門施設へのご紹介が必要な場合があります。

駒沢大学駅直結平日 19時まで土曜 17時まで初診予約不要
月・火・水・金 9:30〜12:00 / 15:00〜19:00
土 9:30〜12:00 / 14:00〜17:00
木・日・祝 休診
〒154-0011 東京都世田谷区上馬3-18-11 エルフレア駒沢3F

よくある質問

うっ滞性皮膚炎は治りますか?
湿疹やかゆみは外用薬で治まりますが、原因である静脈のうっ滞が続く限り繰り返します。足を上げる・歩く・診察で確認したうえでの圧迫を組み合わせ、静脈瘤がある場合はその治療を検討することで、再発を減らし皮膚の硬化や潰瘍への進行を防げます。色素沈着は薄くなるまで長い時間がかかり、完全には消えないこともあります。
うっ滞性皮膚炎は冷やしたほうがよいですか?
かゆみが強いときに短時間冷やすのは構いませんが、冷やすこと自体は治療にはなりません。むしろ足を心臓より高く上げる、ふくらはぎを動かす、診察で確認したうえで圧迫する、といった静脈のうっ滞を減らす対策のほうが効果的です。赤く熱をもって腫れている場合は蜂窩織炎の可能性があるため、冷やして様子を見ずに受診してください。
うっ滞性皮膚炎に弾性ストッキングは必要ですか?
静脈のうっ滞を減らす基本の治療で、多くの方に勧められます。ただし足の動脈の血流が悪い方が圧迫すると危険なため、自己判断で市販品を使い始めず、診察で動脈の状態を確認してから、圧の強さ・長さ・履き方を決めてください。皮膚に炎症や傷がある場合も、創傷の手当てと併せて圧迫を行うことがあり、可否は診察で判断します。
うっ滞性皮膚炎は何科を受診すればよいですか?
皮膚の症状(湿疹・かゆみ・色素沈着・傷)は皮膚科で診察します。静脈瘤が目立つ、片足だけ症状が強い、潰瘍があるといった場合は、静脈エコーや静脈瘤の治療のために血管外科・循環器内科と連携します。片側の足が急に腫れて痛む場合は、血栓の可能性があるためその日のうちに医療機関を受診してください。
うっ滞性皮膚炎の色素沈着は消えますか?
血液の成分(ヘモジデリン)が皮膚に沈着した色で、湿疹が治まっても長く残ります。静脈のうっ滞への対策を続けることで徐々に薄くなることはありますが、完全に消えないこともあります。まず静脈のうっ滞と皮膚炎への対応を優先し、色の変化は経過を見ます。美容目的の治療が適するかどうかは一律には判断できません。
うっ滞性皮膚炎は人にうつりますか?
うつりません。静脈の血流の問題で起こる湿疹で、感染症ではありません。ただし掻き壊した部分から細菌感染(蜂窩織炎)を起こすことはあるため、掻かない・清潔に保つことが大切です。

参考資料

監修医師情報
駒沢皮膚科クリニック院長 清水顕医師
清水 顕(しみず あきら)
駒沢皮膚科クリニック 院長/医学博士
医療法人社団 誠清会 理事長
日本皮膚科学会認定 皮膚科専門医

経歴
  • 山梨医科大学医学部(現・山梨大学医学部)卒業 / 同大学皮膚科学教室 入局
  • 同大学 救急部麻酔科にて全身管理を研修
  • がん研究会がん研究所 生化学部にて皮膚がんの発生メカニズムを研究(国内留学)
  • スウェーデン・ルードヴィック癌研究所 研究員(国際共同研究)
  • 山梨医科大学 皮膚科 助手・医局長 歴任
  • 2003年11月 駒沢皮膚科クリニック 開院(開業20年以上)

専門分野

皮膚がん・アトピー性皮膚炎・尋常性乾癬・掌蹠膿疱症・ニキビ・ニキビ跡・アレルギー性皮膚疾患・美容皮膚科


資格・所属学会
  • 医学博士
  • 日本皮膚科学会認定 皮膚科専門医
  • 日本皮膚科学会 会員
  • 日本臨床皮膚科学会 会員
  • 日本アレルギー学会 会員
  • 日本美容皮膚科学会 会員

研究業績
  • 「血小板由来成長因子(PDGF)のシグナル伝達機構および癌化調節機構の検討」により文部科学省 科学研究費助成(平成13〜14年度)
  • 「隆起性皮膚線維肉腫におけるPDGFのシグナル伝達機構および癌化調節機構の検討」により日本皮膚科学会 基礎医学研究費(資生堂寄付)授与(平成14年度)

担当医師より

すねの湿疹を「乾燥肌」と思って保湿だけで何年も過ごし、皮膚が硬くなってから受診される方を多く診てきました。うっ滞性皮膚炎は、塗り薬で一時的に治まっても、静脈のうっ滞を放置すればまた戻ってきます。足を上げる、歩く、診察で確認したうえで圧迫する——この地味な対策が、潰瘍を防ぐいちばんの治療です。片側の足が急に腫れて痛いときは別の病気の可能性があるので、その日のうちに受診してください。まずお気軽にご来院ください。

本コラムは皮膚科専門医が監修しています。個別の症状・治療方針については、必ず医師の診察を受けた上でご自身でお決めください。(医療広告ガイドライン準拠)

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